経済問題とネパールの環境破壊の影響分析

経済問題とネパールの環境破壊の影響分析
デサール バス デーブ

要旨

発展途上国に属しているネパールは、海岸線のない小国であり、発展の水準は低く、経済資源基盤は不十分なヒマラヤの王国である。地政学的には、中国とインドという2大国はさまれている。ネパールの総面積は、147,181 km2で地球全体の陸地のわずか0.1%であるが、生物多様性と文化的多様性が豊富で、様々な固有の地理的な特性を持っている。1988年度の1人当たりの所得はUS $で$158から$ 180の範囲であったと推定されている。ネパールの大部分は、総面積の83%をカバーするゆるやかに起伏する丘陵と高い山々から成っていて、資源の多くは立ち入りできないような場所に点在している。開発活動は現在、環境管理と状況に応じて決められており、さらに、環境関連情報の需要も日増しに増加している。  この博士論文では、ネパールとカトマンズ盆地における代表的な環境問題に焦点を合わせることにする。それが、ネパールの経済発展とともに生じてきた新しい環境問題である。それらの環境問題は2章以下で個別に取り上げることにする。そして、それぞれの環境問題はネパールの地理的条件や経済状況によって独自の特徴があることから、環境対策についても個別の対策が必要となる。そこで、ネパールの環境問題を明らかにし、その解決のための環境対策について研究した。

第1章は、第2章~7章で詳細に論じたネパールの経済発展とネパールのカトマンズ盆地の現在の新しい環境問題の概要を提示した。さらに、方法論とこの博士論文の目的もこの章で提示した。

第2章は『ネパールのバグマティ川沿いの不法占拠問題と環境と経済への影響』の概要を説明している。不法占拠の問題は、カトマンズ盆地だけの問題ではない。それはネパール全体の問題の大きな問題でもある。しかし、ネパールの首都として、カトマンズにおける不法占拠の問題は非常に深刻な問題でもある。カトマンズ盆地における居住の無計画な成長は、急速な都市化、貧困の拡大、土地や建設の原価高の結果である。  バグマティ川はカトマンズ盆地を流れ、ラリトプルからカトマンズを分離している川である。バグマティ回廊には、歴史的にも文化的にもいくつかの重要な要素が含まれている。バグマティ川沿いは、環境状態が非常に悪いが、カトマンズ盆地の都市中心区域に残された唯一のオープンスペースである。しかし、調査をする場合リスクがいちばん起こりそうな地域である。管理されていない汚水の流入、固形廃棄物の投棄や開発の自由な不法占拠者居住は、川岸に沿った環境状況を悪化させている。この章の終わりの部分で可能な解決策と提案がなされている。(i) 実際のホームレスの人々に問題を認識させ、解決策を考えるための仕組みを開発する必要がある。(ii) 適切な場所で彼らのための避難所を管理することが必要である。 (iii) 生活が苦しく収入が少ない人々のために新しい職を得るための具体的方法を工夫する必要があること、などをこの章で考察している。

第3章では『ネパールの農業劣化と経済および環境への影響の概要』が論じられている。ネパールは、農業経済を中心とした発展途上国である。10人のネパール人のうちの8人は農業に従事しており、そして、それはGDPの40%以上を占めている。非常に都市化されたカトマンズ盆地でさえ、都市地域外のかなりの土地が、農業に充てられている。化学肥料と農薬の過度の使用、従来の農業システム、不適切な灌漑施設、土地の崩壊、土壌浸食、農業従事者の減少、自然災害、人間や動物の様々な活動は、ネパールの農業の劣化や環境および経済への影響の責任がある。化学肥料を避けて、有機質肥料や化学肥料でない肥料を使用すべきであることやマルチ作物の農業を奨励しなければならないこと、新技術ではなく、伝統的な農業システムを使用することを奨励しなければならないことなどが農業劣化の問題に対する重要な解決策である。

第4章は、ネパールのカトマンズ盆地にあるチャパガウンの鉱業汚染を提示する。ネパールの都市の急速発展と建築技術は、多量の砂利を必要とするように変化している。現在多くの住宅会社は、いくつもの住宅、移住地やアパートの建設を進めている。同時に、道路網は砂利の需要増加を多くの地区に拡大した。そして、大型の水力発電、架橋建設の建材の主要な供給源は鉱業とされている。特に鉱業材料は開発作業のためにカトマンズ盆地での使用が過剰である。   チャパガウンの鉱山業の数は2012年に創設は減少したが、環境への影響はむしろ増加が見られた。 チャパガウンの環境に関する影響は、チャパガウンの景観美破壊、土壌品質の低下、農業生産量の減少、大気汚染、飲料水の源の乾燥、土壌浸食、地元の川の沈降、野生生物の生息地の喪失と分断、地元の人々の健康への影響、その他である。

新たな開発を拒絶するか許可を与えるかという問題に対しては、これらの地域の本質をふまえて、これに適した鉱業の目的にふさわしい勧告をしてから管理すべきである。

第5章は『カトマンズ盆地のレンガ工場と環境および経済への影響』の詳細について論じている。急速な人口増加のために多くの家が必要になり、それで、カトマンズ盆地に数多くの住宅、アパート、マンションが建設された。同様に他の多くの建設工事にもレンガを使用している。なぜカトマンズ盆地のどのレンガ工場も拡大しているのかについての答えは、レンガの需要を果たすために、多くのレンガ工場を必要とするからである。しかし、多くの環境問題はカトマンズ盆地のレンガ工場から出てきている。大気汚染は、土壌肥沃度の減少、いくつもの健康への影響やその他の環境への影響は、この章で提示している。

カトマンズ盆地のレンガ工場の調査後、この問題を解決するための可能な方法は(i)建物や他の構造を構築するために代替材料の代わりにレンガを使用することを奨励しなければならない、(ii) 人間の居住地とその農地にはあまり使用されないレンガ工場を確立する必要がある、(iii) 環境に配慮したレンガを生産する近代的な技術を変更することを奨励しなければならない、ことなどを提示した。

第6章は、ネパールの土壌侵食問題に関する調査が含まれている。土壌浸食の主要な4原因は、(i)過放牧、(ii)無計画な耕作、(iii)森林伐採、(iv)土壌の枯渇である。  同様に、不適切な土地利用のような物理的要因や人的要因、非科学的な耕作方法や開発基盤の建設など、ネパールの土壌浸食や土壌肥沃度の減少問題のために責任を負う土地保全法案を集約すべきである。国内および国際的な執筆者、政府や民間の報告書、国際ジャーナルなどの多くの文献をこの章を作成するために再検討し、そして、ネパールの土壌侵食問題のためのいくつかの解決策を最終的には提示している。そのうえ、環境保全手段を組み込まない開発基盤の非科学的耕作習慣や構築物のような人間の活動にふさわしくない土地利用は、さらに土壌侵食、地滑り、氾濫と環境破壊の問題を悪化させた。根覆い、多数の作付け、高密度の作付け、山林造成、移動農業、輪換放牧、適切な森林経営、再植林、植林、土壌管理、防風設備、段丘を施すことは土壌侵食を抑制する可能性がある解決法である。

第7章は『都市の貧困とネパールの環境および経済への影響―カトマンズ盆地の事例研究―』というテーマに従って事例研究を提示した。

ネパールの人々の約80 %が農村地帯に住んでおり、彼らは生計のために自給農業に依存している。家庭の食糧不足と栄養不足は、これらの地域での重大な懸念材料である。ほとんどの農村地帯の家庭は、初期医療、教育、安全な飲料水、公衆衛生やまたはその他の基本的なサービスをほとんど利用していない。彼らは大家族で、とても狭い所有地しかないか、まったくなにも所有しない。彼らはまた、特定の少数民族、カースト制および取り残された人々の中でも特にもっとも身分の低いグループに属し、先住民や女性に集中している。

人口の増加は、特にタライ地域において耕作地に圧力をかけている。人口増加の1つの原因は、丘陵地からの土地を持たない移住者の増加である。移住者にとって多くの雇用機会や教育の利用できる施設、健康、近代的な通信設備、交通機関やその他カトマンズ盆地において利用可能な施設を容易に利用できるので、新しい移住者がカトマンズ盆地で手続きをした後移住してくるのである。彼らによってカトマンズ盆地において都市貧困は増加することになる。したがって、都市貧困層によって占領されている河岸や川の左方の土地は、しかるべき方針に基づいて転換すべきである。双方の永続的かつ一時的な居住は、河川回廊に沿って見ることができる。深刻な不法侵入者に加えて、間に合わせのマニュアルでは、砂利採掘が行われ、彼らによる川へのトイレの直接の排出を見ることになる。

これらの問題については、可能な解決策を提案する。以下のようにそれらは以下の通りである。(i)開発と建築が必要なのは、物質的な計画地域のほかに『貧困を組み入れたコミュニティ(地域)開発計画』を必要とする部門である、(ii)信用グループの中で回転資金を供給することは、ネパールにおける都市貧困の縮小のためのキャンペーン(組織的活動)の拡大に貢献する、(iii)作業を分散することが必要であること、(iv)谷と街の美しさを守るための環境保護規制を設けることが必要である、などである。

第8章は、第2章から第7章までの結論を示している。

なお、本論文の第2章、 第3章、第4章の研究はカナダおよびインドで発行されている国際ジャーナルに掲載された査読付き論文である。(カナダ、Environment and Pollution、インド、International Journal of Environmental Engineering and Management 、インド、Global Journal of Economic and Social Development)

(博士論文の要旨)

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